献立は冬から春へ、三寒四温

2月も半ば過ぎですが、まだまだ寒い日が続いています。

一足早くあさだのお品書きでは、季節が「冬」から「春」に変わりました。

今日、「冬野菜天せいろ」から「春野菜天せいろ」へと献立の名前を貼り変えたところです。

仕入れも、たらの芽やふきのとう、筍に鰆(さわら)、ほたるいかと春を告げる食材が多くなってきました。

季節の変わり目は名残りの食材と走りの食材が交差する時期なのでどうしても扱う食材の数も増えますし、暦と実際の気候のずれや人の感じ方のギャップもあって、仕入れに行く時や献立を考える際にはいつも頭を悩ませます。

そんな時つねに気を付け大切にしているのが、日本料理時代の親方から言われた「三寒四温」という言葉です。

「季節は常に移ろっている。早朝冷え込みが厳しくても日中は暖かかったりして、一日の中でも三寒四温がある。献立の中で、季節の移ろいを表現しなさい。」と教わりました。お店に来ていただく道すがら寒さで冷えた体をほっとさせるようなあたたかな一品もあれば、遠からず訪れる春を期待させるようなひと品もあったりと。

実際の気候というのは、カレンダーをめくった途端にぴったり変わるわけではありません。2月のページをめくって3月1日になった途端に献立や扱う食材が春のものオンリーになるというのもおかしな話です。1月、あれほどたくさん出てきて例年の半値以下だった九州産の筍や空豆は、2月の大雪で急に姿を見せなくなったと思えば、今日は千葉・勝浦から気の早いカツオが水揚げされてきたりといった具合に。

というわけで、今日も私は早朝の築地市場の中をあっち行ったりこっち行ったりと駆けずり回って、蕎麦打ちの時間にぎりぎり間に合うくらいに滑り込んで帰ってまいりました。

蕎麦と、搾りたての新酒とともに、あさだで季節の移ろいを感じていただけたら幸いです。

asada_04.jpg