若鮎の一夜干し

毎年、梅雨時のこの時期になると作るのが「若鮎の一夜干し」です。

弊店はお蕎麦屋ですので、和食店のように焼き物専用の焼き台がありません。焼き台があれば、鮎や小魚なら一匹丸ごと塩焼きにできますが、焼き網で焼くとなるとそうはいきません。梅雨に入って清流のコケを食べておいしく育った旬の鮎の焼き物をうちでも何とかお出ししたいなあと、考えたのが、鮎を干物にすることでした。

まずは、鮎を開きにします。塩水につけてから陰干しします。鮎の内臓は、塩をまぶして塩辛状にしておきます。鮎の内臓の塩辛を「うるか」と呼びます。陰干しする際に、鮎の表面に、蓼の葉を貼り付けて一夜干しにします。お出しする際、焼き上がりの仕上げに、酒で伸ばしたうるかを塗って香ばしさとほろ苦さをプラスします。お皿には、鮎の頭と中骨のから揚げも一緒に添えました。

鮎の塩焼きとは一味違った、鮎の肝から中骨まで一匹すべてを使った弊店ならではの一夜干しです。貼り付けた蓼の爽やかな辛味もアクセントになっています。この時期に作る、私の大好きな料理の一つです。

 

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