水茄子の浅漬け 始めました

今週から、水茄子の浅漬けをお店でお出ししています。

半日ほど糠床で浅漬けにし、氷水で冷やしてから生姜醤油でお召し上がりいただくのがあさだ流です。

20代の和食修業時代、大阪に食べ歩きの勉強に行った際、法善寺横丁にある板前割烹のお店で、生まれて初めて水茄子を頂きました。当時は、まだ東京ではそんなに水茄子は出回っていませんでした。それまで、どちらかというと茄子の漬物は苦手な私でしたが、その時の水茄子のあまりの美味しさに、世の中にこんな美味しい茄子があるんだと驚いたのを今でも覚えています。

最初、氷水に浮かんだ茄子を見たときは、水に浸かっているから水茄子という料理名がついているのかなと思ったのですが、聞いてみると、手で絞ると果汁が出てくるくらいの瑞々しさしさから名づけられた品種名です、大阪では欠かすことのできない夏のお惣菜なんですよ、と教えていただきました。

そして、「こんな美味しい茄子を大阪の人だけが食べているなんてずるい! 私が実家に戻った際には、ぜひともお店で出して、東京の方にも召し上がっていただこう」、とその時、小さな野望を抱いたのでした。

それから約20年、今では築地にも良質な水茄子がたくさん入ってくるようになり、あさだでも夏場のちょっとした名物となっています。

水茄子は、私にとりまして、そんな修業時代を思い起こさせる思い入れの深い食材の一つです。

 

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